『吉原治良展』/河原温、ほか


2006/06/13 (Tue) - 07/30 (Sun) 『吉原治良展』+『持続/切断』展の河原温+常設展ほか  @竹橋「東京国立近代美術館」。

吉原治良展』



吉原治良(1905/01/01 - 1972/02/10)...生誕百年記念の初の回顧展。「具体」の親分。ざっとみるのに50分位かかった。

  1. 初期作品_窓辺と窓外の風景
  2. 形而上学的イメージと純粋抽象
  3. 戦時中の絵画_二つの風景
  4. 鳥と人、そして線的抽象
  5. 具体の誕生、アンフォルメルの時代へ
  6. 「円」とその後
    • ペインティングナイフを使っている。「売り絵」の様な安っぽいマチエール...とかいった先入観も無かった時代。ブルーグレーに色調を統一している(一斉に退色したんじゃないよね)。空には鳥の群れ。
    • デ・キリコの影響。モダニズムの様式。...いやさ、アメリカの絵本の様式。...フェルナン・レジェの弟子だった、アメリカの絵本作家、クレメント・ハードの画風を見よ。二十世紀中葉様式。商業美術にも近いものがある。
    • 空から見た山塊のような風景画。これは珍しい。
    • レターヘッドの様な形体が透き見える、アンフォルメル絵画時代。

『持続/切断』展より


河原温『物置小屋の出来事』(1954) 全31点展示


“不在の美術作家”河原温。おそらく作家自身の指示で、図版が無いのだろう。
続き漫画の様な、アニメの原画の様なこの作品。もっと知られるべきなのだが、非常に微妙な位置を、未だに保っている。


常設展など


オルグ・グロッス、マックス・ベックマンの版画。
岸田劉生『切り通しの写生』他。



『切り通しの写生』は、ここに来ると必ず見ることにしている。道の両端の土の表面。非常にすごい。なんでここだけバロック絵画になっているんだろう、と。異様な感じを受ける。
村山槐多の絵も馬鹿にできない。古賀春江も要注意人物。
二十世紀初頭の自然主義絵画の中には、感傷的な、映画の看板じみたものが点在する。
梅原龍三郎の絵画は、暗緑色の濃いもののみ。鮮やかな「北京」シリーズは見かけなかった。