「自選一行レビュー補遺」「グロテスク・クラシカリズム」ク・ナウカ  《トリスタンとイゾルデ》




2006/07/24 (Mon) - 07/30 (Sun) 《トリスタンとイゾルデ》(ク・ナウカ) @上野「東京国立博物館・庭園・特設舞台」。


(20:00-21:15/21:25-22:10_¥6,000-)


基本的には《オセロー》の舞台を流用。...大幅に改造してあるが。
一幕、二幕、三幕とあって、正直、一幕目が一番面白かったような...。
風俗と地理のネジレで感覚が混乱する面白さ。内容は、大袈裟に云えば封建制度が崩壊する場面ですよね。二幕目は今までのク・ナウカでは無かった様な表現がでてきて唖然。象徴主義の演劇が復活したかの様な。マラルメとかイギリスの人とか、前世紀末の時代精神はこんなだったかな、という感じ。


全三幕。130分。
一幕目は政治的(?)なジレンマが描かれ見事と思う。アイルランドとイギリスの話(ワーグナーでは)を、沖縄と明治政府の衣装で。後半はアイヌの衣服までと、見ていると頭がクラッとする演出。
二幕目は濡れ場と、浮気がばれ決闘するところ。世紀末のフランスの詩の様な長い観念的な台詞と暗黒舞踏の様な動作はめずらしい。男性(大高さん)は褌と晒しの腹巻きだけ。
三幕目。トリスタンが北の故郷で死の床。イゾルデや王が秘密を知り駆けつけるが遅い。また観念的な長いシェイクスピアみたいな台詞。意外に長い場面。
宮城さんの耽美趣味爆発ですけど、幕により印象が違う。