「自選一行レビュー補遺」「グロテスク・クラシカリズム」十二月第二週目の観劇ルポ(東京・仙台)

定禅寺通



2006/12/11 (Mon) - 12/23 (Sat) 『ザウェル 〜 犬の銀河 星下の一群』(Theatre Group“OCT/PASS”+きらく企画) @仙台 五橋「Theater OneLIFE」。


(20:00-21:44_¥3,000-)...12/11 初日見る。


八頭の犬が鉄道に乗って(貨車に閉じ込められ?)旅をしている。ひょんなことから甦った記憶の中で「銀河鉄道」の様な劇中劇が開始。...あれ程ギャグに淫していないが、傾向としては「浪花グランドロマン症候群」。アングラ手法の定型化の過程で、ある種の落とし穴にはまっているとしか思えない。功利追求・劇団維持優先のニオイがする。核心部に切実さが感じられない。役者陣はいいです。仙台小劇場界の中堅若手。目の前から天井近くまで舞台を使っているし。


「Theater OneLIFE」は開場から客入れでげっそりさせることが多そうに見受ける。駐車場の奥の蔵みたいな入り口。...出た“仙台時間”。予告時間を5分位過ぎてから人がうろうろ始める。蔵の端っこを細く開けて、女の子がそばにポーッとたっているだけ。部外者には何がなんだかさっぱり。「桟敷童子」等とは真逆。



2006/12/09 (Sat) - 12/11 (Mon) 『たまよい』(ロマン派ダンサーズ) @仙台駅東口「せんだい演劇工房10-BOX」。若林区卸町二丁目。卸町会館...大きい方の卸町公園の近く。


(19:00-20:05_¥1,200-)...12/09 雪と小雨の初日、夜の公演見る。


伊藤文恵・佐々木泰佑。マイムの要素が多いダンス。あやつり人形の様なギクシャクした動きメインながら、時計まわりの動き、光の帯に沿った縦の動き等、場面割沢山きざみあれこれ多彩。
思わぬ仕掛けもあって相当力入っている(へもさんの照明も非常に凝っている...ズバリ。天井からクラゲがたくさん降りてくる)。こむずかしい部分が少ない。コミカルな児童劇風の部分も。
恐らく神話の風景。時間と誕生の女神。男を作り出す。急速に成長するが、寿命が短い。女性は淡いベージュのドレス。顔は恍惚。男はロシアバレエ団の様なパンツルック。表情が醒めていて、彼は面白い。若い男女のニクタイのバチンというぶつかり具合。...海の底の国にも見える。



2006/12/10 (Sun) - 12/11 (Mon) 《オフィーリア・マシーン (http://www.Ophelia/machine.ne.jp) 〜 ハイナー・ミュラー・ミラー Vol.2 》(千賀ゆう子企画) @両国「シアター・カイ」。東京公演。※横浜公演もあり。



(14:00-15:25_¥3,500-)...12/10 初日見る。


バラバラに動く集団シーンは相変わらず見事。ただ一つづつの要素はパターン化の発想で作られているのでは。真中辺が日本史の復習になっている。まあ最近の高校生にはちんぷんかんぷんなんだろうが、歴史の描き方に魅力がない。元祖の《戦いの光景》を想起して欲しい。叙情的な落とし所を潜り抜けたところはなかなか。しかし次が無い。結語が無く間延び。


既存の音楽を使用。安い。ペットボトルを切り裂いて作った球状のものは新発明だが「フレーム」とセットになる小道具がまだ弱い。ゴテゴテ感あり。
鳥男(田村泰二郎)の動きが飛び抜けている。
トゲがない作り。“先生”の前衛。
「麻布diePratze」で上演された《Vol.1》は良かった。髪の腰まである女性パフォーマーも健在。


2006/12/08 (Fri) - 12/10 (Sun) 《幻想の虹》(zupa...水寄真弓+倉迫康史) @王子「Pit北/区域」。


(18:30-20:05_¥3,000-)...12/10 楽日見る。満員。中途半端な体育座りで足が痺れる。


この一派(決めつけているみたいだが...グロテスククラシカルな)の東京勢は、古典をやりながらも、お客を退屈させないぞっという決意がみえる。「ワイルド」「カミュ」やる、なーんちゃってという照れの様な意識も感じられる。
しかも、自分たちの物語をダラダラ綴るのは潔しとしない。戯曲の描く複雑な世界に仮託して描く。
エチュード的に短く完結に、繰り返し構成される笑い・恐れ・エロス。
「山の手メソッド」の一部を自分の発想・演劇の基礎としてもち、それを作品として表にだせるという人材は貴重(ミズヨリ、クラサコの作業がどんなもんだったかはわからないが)。
皮相といえば皮相。テキストとの戯れ。女優陣の活躍が薄いかも。