「ピアニスト」現代音楽のエキスパート、ピアノはなかじま! 其の壱


「中嶋香シリーズリサイタル〜ピアノ音楽の推移と変異・第二夜」 @初台「東京オペラシティ・リサイタルホール」。


(19:00-20:40_¥3,500-) 


Program:

  1. 港大尋 『Calling Your Name』 約10分 (2003年)
  2. Richard Barrett 《Tract》 約25分 (1984―96年)
    • intermission 約20分
  3. 一柳慧 『雲の表情』Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ 約15分 (1989年)
  4. 近藤譲 『高窓』 約15分 (1996年)
  5. 権代敦彦 『青の刻 op.97 〜青の13のグラデーション』 約20分 (2006年) ※委嘱作の初演。


前半、ホールターネックの黒いドレス。臙脂色の花の刺繍がしてある。背中は大全開。
後半は白のドレス。背の開きを囲んで羽衣状にドレープができるようになっているデザイン。コスチュームジュエリー風の白のネックレスとイアリングお揃い。


今回の目玉は2曲目。
客電はもとより舞台照明も落とす。同じ曲なのにさまざまな大きさの楽譜があり、終わるごとに「めくり」の人が床に散らす(たぶんそういう指示が出ているはず)。
高速で音がいっぱい詰め込まれたすさまじい曲。
ダイナミクス」(?)が、途中で数回ガラリと変わり、途切れが生じ、たくさんのピアノの線(スチール弦と同様に扱われている)が、ウァーンと余韻を長くひっぱり、そこらの闇に消える瞬間がある。...闇に。
指と手とペダルで演奏する曲としては限界にちかい難曲だろう。


5曲目。権代敦彦作品を、彼女は多く手がけ、レコーディングもしているが、わたし個人としては苦手な作曲家の一人。どこかしらに出てくる単調さがキツイ。

「ピアニスト 中嶋 香」について知っていること。


1963年 東京生まれ。桐朋女子高校音楽科、音楽学部ピアノ科 卒。1987年より、東京での定期連続リサイタルシリーズ開催。『新しいうたを創る会』等の制作者の一人。 2004年 第22回「中島健蔵音楽賞」受賞。


「東混」:「東京混声合唱団」の伴奏を数多くこなしている。「東混」ではなかったかも知れないが、名前を変えて合唱に参加して歌っているのを見たこともある。おそらく、桂冠指揮者、田中信昭氏の、娘か、姪か、養女か、歳の離れた奥さんか。まあ、スキャンダラスなことはチートモないと思いますが。


ソリストとしては、現代音楽のエキスパート。委嘱作も多い(作曲家たちからは、大事にされている様子が伺える)。海外の現代の作曲家の紹介も継続的に。分析、把握、表現の一連の作業がきちんとされていることがわかるような、理知的なのに、伝わってくるものがある演奏が最大の特徴。知と情の混交が濃いというか。


なんとなくサザエさんを連想させるステージ上の動作。人を威圧するようなアウラが、全く無い。肩書きだの、音楽界をめぐるもろもろの虚飾、夾雑物から、かなり遠い場所にいる人。