黒テント『ど』桐生公演

足利市、渡良瀬川の中橋



2006/06/11 (Sun) 『ど』(黒テント+桐生に芝居を呼ぶ三人の会) @桐生「有鄰館・味噌醤油蔵」。


(15:00-16:45_¥3,500-)


旧練習場以来の再々演にして旅公演の大詰め。
次々かかる懐メロを口づさむ観客多数。うたごえ喫茶の曲まで登場。
六十年安保と学生運動の峡に書かれた作品を元にしている。


ポイント二つ。
当時の共産党と学生の対立の様子がでてくると、気のせいかもしれないが、観客の中にこわばったものが生まれた、と私は感じた。非常に硬直した暴力のイメージと、タブーというか禁忌、ケガレの感覚に近いとおもう。
一般の人たちがもっていた反戦の気持ち、戦争犯罪人アメリカ当局の結託、冷戦構造へ飲み込まれる事への反発が「六十年安保」の大衆運動の盛り上がりを支え、岸首相の退陣を実現させたと思うのだが...よってたかってその「思い」はケガされてしまったのだな、裏切られてしまったのだな、と感じた。
ことはそう単純ではないのだろうが、1960年と1970年では人心は違うのだ。
だからこれは「失われたものがあったなぁ」という演劇であるし、日本の「大衆」が動くということはもうないだろう、ということを知らしめてくれる演劇でもある。


ちなみに岸首相は「野戦之月海筆子」では、アヘン特務機関のボスだった男として言及される。孫も三世?議員。ポスト小泉といわれている。