タン・カイシンの新作ほか自主制作映画


2006/07/20 (Thu) 「neofest2006」Cプロ @新御茶ノ水・小川町「neoneo坐」。


(21:00-23:55_¥500-)

吉村真吾 『花筵』

北九州市の市営の渡し船の待合室で、一冊の句集を読みながら、通行人の品定めをしつつ、偶然知り合った男二人がダベる様に空想ひろげる、のほほん展開の脱力系映画。
つげ義春っぽい? 「はなむしろ」と読む。

安里麻里 『兵士の物語』

英才音楽教育の執念?を巡る『赤い靴』の様な、昔話のような、怪談仕立ての、ゴダールブニュエル タッチの映画。
技術的にもウマイです。題名はテーマ曲から来ているのかも。

安里麻里 『戦時下』

全ロケ撮影。SFタッチの劇画風短編。物語は形だけだが、細部と風景と最後のシェルターがいい。


Tan Kai Syng 《荒廃・和解(散弾百回)》

こういう順番の所為で冒頭の数分しか見ていないんですが、彼女は別格。単独の上映会があって当然のシンガポールの映像作家。
各美術館、アーカイブこぞって作品を買うように。
まず言葉が写され(事前キャプション?)、短い映像が次にでてくる。ザッピング・アワーの様な音楽・ノイズ。
もしかしたら嫌な人もいるかも知れない、視線に冷やかす様な批評的な意思がある。
たぶん後半にかけて、言葉と映像の関係が飛躍してゆくんだと思うが、最初の素材のチョイスからして才気煥発。
隠微な個人的象徴など皆無で、街角で拾えるパブリックな題材・場所でずっと勝負している。
私にとってはこの種類のアートの最良の窓口になってくれた人です。

2004/09/26 (Sun) タン カイシン:陳 凱欣 作品集《塩素中毒》《アイランドホッピング(映画版)》《ビッグ・イシュー》ほか @京橋「映画美学校」。


英・米を経て、武蔵美に留学中のシンガポール女性映像作家、タンさんの作品上映とライブパフォーマンス(VJのこと)の夕べ。
流し撮り、激しく明滅する映像。シニックで自意識的なナレーション。被写体は標識、図像などの記号が多い。
《塩素中毒》とは“水泳狂”のこと。これはナイーブな傑作だと思う。
《アイランドホッピング》は、靖国神社盗撮ほかを敢行した最新作。写っているヒトたち(軍国コスプレイヤー、右翼?爺さんなど)はとんでもないが、作者は政治をテーマにしていない。でもいろいろ言いたくなる(写っている事柄に対してね)。 (角田)

日本の映画は、実験映画でもそういう雰囲気があるのが残念だが、「タテ社会」な所と、「コケ威し」が蔓延している所。この悪弊で、たぶん永遠に二流三流のまま終始するんじゃないのでしょうか。