「日本アンダーグラウンド演劇再定義の試み」『吹雪のかがり火』『真冬の同窓会』

2007/02/03 (Sat) 劇団夜行館『吹雪のかがり火』 @黒石温泉郷津軽伝承工芸館・多目的ホール」。


(18:40-20:20_¥2,000-)


第一次「状況劇場」の創立メンバー、笹原茂朱氏主宰。脇元、小泊、五所川原、木造...現実の津軽の土地を神話的に読替えた、言わば中上健次的、文学的作風か。
平たいスタジオの床面にシートを敷き、奥に幕を張って、板材を並べた簡易の壁状の物を三つ並べて舞台に。無調の現代音楽を全面的に使用。
冒頭から、てんてこまい(行商のお姉さん)、木里立(真っ赤な装束の巫女)の強烈な一人芝居と語り口で牽引。...土地の人はミガキニシンをああやって食べてるんだ。丁寧な導入。笑いを取る箇所など、洗練されていると思う。二重言語。辺境だ辺境だといいつつ、中央(昔京都、今東京)を意識している。
ただ折角の「仁王の様な肉体」の男と、「土地の女の気持ちを一身に集める」赤いマフラーの女が、明らかに非力な若い役者で演じられているのはどうなのか。この期に及んで素朴なリアリズムとは。出来る役者が肉体とかけ離れた役をやって見せてこその芝居かなと。
最後の部分で、主宰氏が舞踏をやるんだが、青い光が暗過ぎて何も見えない。こちらも、奥ゆかしいんだか、思い入れ過剰なんだか。
釈然としない部分が多いが、劇団の構想と役者が揃っているのは分かりました。


ちなみに「津軽工房祭 & 雪国元気ファンタジア 〜 旧正マッコ市前夜祭」の第二部。第一部は、わらび座、丸山有子一人芝居『十三の砂山』。三部は「足湯 朝までライブ」10組のバンドが出場(仙台にもよく来る「日本の風」他)。




2007/02/03 (Sat) - 02/04 (Sun) 弘前劇場『真冬の同窓会』 @弘前「スタジオ・デネガ」。


(15:00-16:34_¥2,800-)


黒石で聞いた“魂遊び”“仏様遊び”という言葉はこの劇にも当てはまりそうだ。系統としては今まで無かった訳では無い劇だろう。ただ以前の長谷川作品から内容を予想していると面食らう。軽妙な軽口の部分が拡大。無駄知識の蘊蓄の海に揉まれる「静かな演劇」という船、てな具合。登場人物もオフビートで常識外れな言動の変人ばかり。

作中に出て来る「ひまわり」という名曲喫茶は、弘前一見の客の私でもすぐ発見できました。

「スタジオ・デネガ」は裏通りの一角を占める赤レンガ風のファッショナブルな建物。レストラン、アパレルの店が同居。劇場部分は黒い壁に木の床。ちょうど「池袋芸術劇場・小ホール1」を三分の一位に小さくした感じか。弘前初演の楽は、前夜からの吹雪の名残で断続的に粉雪が降り続く日。