「ドキュメンタリー」「ミッドセンチュリーモダーンズ頌」『9.11-8.15 日本心中』

2007/03/03 8sat) - 03/23 (Fri) 大浦信行『9.11-8.15 日本心中』(2005) @「ポレポレ東中野」。※再上映。

『日本心中 〜 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男』(2001)の続編か。


ビデオ映像。大野一雄が日本家屋の縁先で踊る。
目の坐った老人が商店街を歩く。針生一郎氏。買った魚をむしゃむしゃ食べる。
河原温の作品。山下菊二の作品。敗戦を迎え、自由になったといっても、リベラリズムに戻るのは不可能だ。ところが、花鳥風月のサイクルが戻ってきている。
独自の「エートス」が表現されていた、という言い回し。


山梨。「あけぼの村」のバス亭で下車する重信メイ(重信命)さん。
水上生活者の少女(「在日コリアン」という設定らしい)がいる。
遊園地で遊ばされている針生さん。
川の上の家で『アッツ島玉砕』の戦争画を再現する画家がいる。
アメリ同時多発テロについての若手批評家との対話。ナチスの殲滅戦指向とガス室。ツインタワーの青空。テクノロジーで悲惨を遠ざける。
村上隆の作品。
鶴見俊輔との対談。吉本隆明が反論してこない。ワラビもち。金達寿金時鐘『新潟』『猪飼野詩集』。千家元麿の長編詩『昔の家』。感情の持続力。
金芝河と針生対談。...メモ「相手の目を見て話さない人々。机に突っ伏してモニョモニョ。日本の知識人はこういう話し方、態度をするんだ。」
重信メイさんと金芝河の対話。逃亡中の思い出と、ロレンスの紀行文の一節を引用。薬草の匂い。レバノンの詩人(カリール・ジブラン、ギブラン、ハリール・ジュブラン Kahlil Gibran)を引用。
炎上する家。
笛のラストシーン。


ハプニングも導入した、詩的、文化批評的な映像作品。


上演後...重信メイ(重信命)さんゲスト。APF通信、BS朝日、TBS等で仕事。日本国籍取得。
ジーンズ、黒いセーター、白いジャケット。足が長いので横に倒している。
パレスチナイラクオサマ・ビン・ラディンは関係ない。マスメディアの「パレスチナの“自爆テロ”」という表現を批判。
この、重信メイという人は、また、何と言っていいものか。イタリアの女優さんみたいな、フォトジェニック的な非凡さ。なんともあいまいな存在。


メモ「左翼革命というのはもう無い。実現するには矛盾がある。だから、表現的には、秘教的になる。場違いな根源性。」/「ニッポン展」(1953)の画家たち。/運動史の研究家、伊藤晃さん。「左翼冒険主義」「山村工作隊」。/脇田憲一『朝鮮戦争と吹田・枚方事件』明石書店。/美術史の「宮田達也」さんをハッケン。