「日本アンダーグラウンド演劇再定義の試み」「戯曲読みマラソン後続集団」「平原演劇祭」高野竜 連作戯曲集を読む。

高野竜『劇説 風のからだ』(未上演)

第一場 帰郷


インド、中国放浪。沖縄に辿り着く。旅行中、看病され、知り合った智子。

第二場 悪霊


某劇団の分裂。
時間を逆上って、新宿南口での床屋徒弟稼業。花園神社でアングラ劇を見て呆然。役者(実は下働き)に誘われる。
同棲していた智子失踪。
最後になった《アンティゴーヌ》上演。
上野?_高田馬場?_での廃屋暮らし。
催眠術まで出て来たゆきづまり演出。
主演は(別の?)智子。
二度の白日夢。空き缶に入れられ埋められていた本(台本)。

大詰め 拡散


下宿でも幻覚を見るようになってくる。恐怖。
インドのプリーという漁村であったキムというフランスの女の子の記憶。
智子との寝言に答える実験で、白昼夢を見るようになる。
体内のウィルスのゲリラ部隊の問答。
錯乱の果てに部屋を出て、上野からどこかへ。対馬らしい。
海辺でのキムの通夜の夜。智子もいる。黙示録めいた幻覚...。


    • 一人で演じるために書かれていると思うが、相当困難。《森の直前の夜》の日本での上演の様に、一部テープを使うとか、何人かで振り分けるという演出が必要かもしれない。混沌とした印象を感じるように作られている(自分が読み取れていないところもあると思う)。イメージの出てくる順番はコントロールされている。味わいは芥川龍之介の晩年の作品に近い部分もある。突然ウィルスの部隊が登場するところなんかは、笑いを想定しているんだろう。“粋”な感じ?!