錦鯉タッタ『安穏。加害者と夫、その妻とその意志』。

相生坂

2008/05/06 (Tue) - 06/07 (Wed) 錦鯉タッタ『安穏。加害者と夫、その妻とその意志』 @神楽坂「神楽坂ディプラッツ」。

...05/06 (14:30-16:04_¥2,300-)

前作、島尾敏雄『死の棘』の二人に、プイグ《蜘蛛女のキス》の設定が重なり、役者個々が自主的に作り出したパートが監獄の日課という枠組みの中で劇に挿入されてゆく。
男にとって妻は死んでおり、女は夫を刺すなどして収監されているらしい(のではないか)。作家である男は、相変わらず、看守に、奇怪な理由でたて突いている。愛情の薄い現代に置き換えた『死の棘』の後日談か。
劇の次元が移って、今こそ通読してみたいような事が書かれていそうな《共産党宣言》のさわりが読み上げられ、左翼のヴィーナス(?)あるいはミホ(藤島かずみさん)が柩から蘇る。しかし柩ははじめから監獄の中にあるという。
新プロレタリアチックというか、独特なモノの扱い。紐で結わえられた文庫本の束とか、ゴムの靴裏を触るとか、タオルをずらっと干したり(人によって仕上がりの形が違っていたり)。
藤島さんの過去の評判を取ったパフォーマンスが、ちょっと形を変えて、二つとも見られるお得な舞台でもある。全体的にちょっと他人行儀(?!)なダイジェスト版的作りになっているかも知れない。