2009年05月 月間 見た聴いた読んだ(04)。

こんどこてんします



  • 大西みつぐ「続・近所論 〜 静かに降り積もり、溶けゆく時間」展。 @清澄白河「深川ラボ」。...ポラロイド社のピンホール写真。スナップ。溶ける素材にプリントした写真。
  • 「8人の写真家たちによる実験」 @清澄白河「赤々舎」。...浅田政志・ARIKO・黒田光一・澁谷征司・高橋宗正・殿村任香・旗手浩・鷲尾和彦。...浅田さんの「浅田家」。自分の家族を動員したヤラセのスナップが面白い。
  • 007. 「世界のドキュメンタリー 2008」# 07「マルグリット・デュラス 〜 異種の映画への試み」...ドミニック・オーヴレイ《マルグリット・デュラス あるがままの彼女》(2002) 61min (13:04-14:05)//マルグリット・デュラス《陰画(ネガ)の手》(1979),《セザレー》(1979),《オリリュ(オーレリア)・スタイネル 〜 メルボルン編》(14:26-14:53/-15:20)。 @京橋「映画美学校・第一試写室」。
    • 「ドミニック・オーヴレイ」は、フランスの著名な映画編集者。プライベート映像や公式インタービューの映像を駆使した、デュラスのポートレート映画。/母性愛について。東南アジアで過ごした幼い頃。フランス人とは思っていない。書くこと。自分の場合、書き始めは「復讐」「告発」だ。それがやがて別の道に入る。自分の人生は、貧困と戦争で二度の中断がある。克服できなかった。舞台女優。アルジェリア闘争。左翼の運動体験。テレビでの仕事。読書。家事。食物。料理。かたずけられない女。家と女の自殺について。...眼鏡の変なおばちゃんという印象だったが、有馬稲子(?)さんみたいな感じの女性でした。
    • 「シネマ・ディフェラン(異種の映画)」と呼ばれた一種の実験映画。映像とナレーションに全然関係が無いように受け取れる、静かな(劇性が無い)短編映画。...バカンス時期の早朝のパリには植民地の人間しかいない。朝8時になると見えなくなる(デュラス自作解説より)。
    • 講義。諏訪敦彦(映画監督)。(15:33-17:23)。...カンヌ帰国直後。《ヒロシマ、我が愛》を下敷きにした『H story』を撮影。素材が圧倒的に足りない状態で、音声を消した映像を使う案で乗り切った体験から。ジル・ドゥルーズ《シネマ》より引用。...諏訪さんに言ってるのではないが、三文芝居じゃあるまいし、亀裂が世界への信頼を回復させるだとさ。「お題目」くだらなすぎ。実際は亀裂といっても完全に(イメージと語られていることが)繋がらないわけではない。言葉の意味がわからないのがネックなだけなのでは。...それより「片倉ビル」皆引っ越していって、自動販売機も撤去されているのだが、大丈夫か。



  • #16「アンティークフェア in 新宿」 @新宿・西新宿「スペースセブン・イベント会場」※新宿区西新宿 2-7-1(新宿第一生命ビル 1F)。 
    • スェーデンの陶芸作家「リサ・ラーソン(ラーション)」の動物の造形置物。/オーストリアのメタル陶芸作家「ウォルター・ボッセ」。貫入の入った指先に乗るような小さい動物の置物やステンレスの象の文鎮。/「ホロハーザ社」(ハンガリー)のアンティーク陶器動物人形(犬、猫)。50年代の風変わりなデザイン。みなかなりいい値段するんだよね。
    • イタリア「サヴィニヤック」のポスター縮小版印刷物。¥1,050- は高いと思う。不二家のペコちゃんモトネタ、バーズアイ・キッズの飲料のキャラクターたち。
    • 「アートフェア」とは当然ちがうんだが、お客さんの活気、店の人のダラッとリラックスした感じ。ガラクタの山の中にチラッと面白いものがある感じは独特。まあ銭失いで虚しい感じはあるんだが。

  • 田中麻記子「ROSE TUNING」展 @表参道「hpgrp GALLERY TOKYO」。※渋谷区神宮前5-1-15-B1F。ブティックの地下。
    • 岡本太郎賞」で知られるようになった画家。ドロドロした流動的なイメージの中の人物。テクニック的に、人物像がうまい。バカテク幻想画。今回は赤っぽい色にこだわった制作。マチス的な《ダンス》画を一枚出している。「ユミコチバアソシエイツ」というマネジメント事務所に所属(?)。
  • ポストポッパーズ「オタクアート?」 @茅場町フランティック ( art project frantic )」。※中央区日本橋兜町16-1。とんこつラーメン屋の入ったビル3階。
    • 投稿(画像)SNS 等で知り合った10代後半から20代頭のイラストレーターのグループ展。デジタル制作ときいていたが、手で描いたものが多い。ダンボールで作った段々。展示図模型。手法的には、ほぼ全員コミックの人物像が基本になっている。GEISAI #11 で登場。今回のメンバーは、藤城嘘(代表)/考え中/サッピ/しーく/地獄底辺/neko/派手な看護婦/三輪彩子/落下傘/リリカルロリカル。中にはビビアンガールズを参照している人もいる。
    • 秋葉原の方のアートフェアで注目された「梅沢和木(うめざわ・かずき)」を排出した集団。梅沢さんは、今年の 12 月に、こちらの画廊で個展をする予定。
    • 自分写真撮りの人と、「リリカルロリカル」さん(岡山出身の 21 歳の女性・あからさまに女の子が描く人形の様なセーラー服の女子像で展開)。思春期の像、不安で繊細すぎて、不慣れで、みたいな題材ははっきり提示されていると思う。まあ、永遠のパターンといえばパターン。すぐに蒸発してしまうような苦しみ。

  • 三瀬夏之介『シナプスの小人』展。 @新宿「新宿高島屋 10F・美術画廊」。 
    • 新VOCA賞作家。和紙の作品は随分高値を呼んでいる(プラス立体作品も展示)。何等かの秩序だった画面の奥行を作るのを放棄しているように見えた。印刷したものをコラージュした部分、緑のアクリル絵の具の垂らしもある。色が渋い、おとなしい、ありがちか。奈良出身の作家なら細部にもう一工夫あっても良さそうじゃないか(高校の美術の先生だそうだ)。
  • 庄司紗矢香 展“音楽の中の心象風景+映像”」 @京橋「プンクトゥム」。...バイオリニスト庄司サヤカさんの絵画展。ドイツ表現主義のマルケ辺りと似た感じの絵画。人物の姿勢などいいと思うが、描写の線が弱い(そういう効果か)。

  • 「新田健 近作展」 @京橋「ギャラリー手」。...雲形の線を描いた紙を切り抜いて、カンバスに貼り付け、さらに描線を加え、白を塗ったもの。抽象だまし絵みたいな感じか。画廊の椅子で寝ているおっさんが画家か。
  • 「自然哲学としての芸術原理」# 05「伊藤誠 個展」 @仙川「東京アートミュージアム」。伊藤さんの回 最終日(?)。
    • 伊藤作品は「ボート」という顔につけるマスクのようなオブジェ2点。実際は参加美術家6人全員の作品が何点か見られるようにはなっている。しかし仙川は日中からゴチャゴチャしてイライラする街だ。ゲスナー趣味わりい。
    • 客捌きや劇の長さは大改革で良くなった。がしかし、奥にすぼまって詰まった感じの舞台。物語がしょうもなく“かったるい”。ただのオハナシですよね。近代劇的な俳優は出ないものだ、という理解(リテラシー)は有るので、プロンプターはいらないのでは? 覚えきらんのなら、台本読んでいたらいいよ。カムバックした鏡乃有栖さん(ヌードスタヂヲのエリカ)大熱演と思ふ。

  • 清澄一丁目。川のそばのロフト画廊群。「シュウゴアーツ」など見学。
    • スタッフの雰囲気とかまるきり違う。女性向け美容室みたいな感じ。居心地は相当悪い。あくまでもその瞬間の主観だが、昔から嫌いなのはしょうがない。
  • やのまき さんの画廊「MAQUIARTO」での「秋元珠江」展。 @清澄白河「MAQUIARTO」。
    • 秋元さんの、食品のゼリーを使ったインスタレーション作品。泡を発生させる装置を使ったインスタレーション作品。それぞれの細部を撮影して引き伸ばした写真の展示。三点。
    • 「タマダアートプロジェクト」「シャネル」とキャリアを積んできたアート系のプロデューサーの若い女性。大きなシュークリームで、別の女性アーティストとお茶をしながらの打ち合せ中にお邪魔して見せてもらった。気さくでハキハキした感じの良い方。
  • 「気体分子ギャラリー # 01 伊東直昭」展(実展示)。 @清澄白河「深川ラボ」
    • 伊東直昭さんに自作の解説をして頂いた。毒を持った過剰防衛の小さな虫ケラに現代人のある一面を投影させた昆虫人間のシリーズ。前作の「劣化ウラン」シリーズ。こちらは、手塚治虫の「ウランちゃん」「鉄腕アトム」的な「明るい未来ロボット」を皮肉に描きなおしたものなんだそうだ!! タブローのテーマの発想として非常に面白かった。ただ一見しただけではグロテスク趣味の絵画です。

  • 「TAGTAS/FORUM〈条件なき大学〉第一期」河野真太郎『前衛の系譜学1 〜 アゴニズム/未来性』(19:17-20:07/20:17-21:45_¥1,000-) @御茶ノ水「フリースペース・カンバス」。
    • 河野真太郎さん。一橋大学 大学院 商学研究科 専任講師。「大戦間の“文化研究”と自由主義イングランドの奇怪な死」(2006)/「イギリスの福祉国家への転換とその文化への影響 〜 ヴァージニア・ウルフを中心に」(2008) 等。『回転するモダン』、『現代批評理論のすべて』、サイード翻訳などに参加。
    • シャンタル・ムフ Chantal Mouffe の“闘技的多元主義”、「パフォーマーティブ」と、ヴェルナー・ハーマッハー Werner Hamacher の“他自律”、「アフォーマーティブ」。だが、その前に「アフォーダンス」というのがあって(ゲシュタルト心理学)、余りに抽象的な議論だと、聴衆は勝手に興味を持つ箇所に集中していってしまう。また構造主義系統の騙しの議論があると思う。具体性がないのは実は単に楽してるだけなんじゃないか。何か非常に場違いなものを感じた。
    • 一時期「アヴァンギャルド」の代名詞だった「未来派」。美術史的にはガラクタしか生産していないという指摘もある。今回も鴻さんが具体的な議論にもっていこうとして、ロシア・アヴァンギャルドの評価が大きく揺らいでいる例を挙げられたが、これの方が興味深かった。贋作がけっこう含まれているというのは聞いたことがある。