「自選一行レビュー補遺」「グロテスク・クラシカリズム」《ムネモシュネの贈り物》+ High Morals Forever《始まったものに終わりはない》リターンズ


2006/06/11 (Sun) - 06/18 (Sun) 《ムネモシュネの贈りもの》(テアトル・ガラシ+ク・ナウカ) @下北沢「ザ・スズナリ」。


(19:00/19:15-20:20/-20:45_¥4,000-) ...アフタートークも聞く。


シュルレアリスムのバレエ+声といった感じの緊密な舞台。文明批判的な内容は美加理さん自主公演に由来していそうだ。動物の動きを模した一連の動作が迫力。平板な語りでドキュメントを入れようとした部分は異論がありそう。


『聖書』のある種のバージョン?には「始めに言葉(ロゴス)ありき」とあるそうな。昔は「光あれと神は言った」じゃなかったかと思うんだが。「文字の禁忌」という神話があるのかどうか、私は良く知らない。プロメテウスのように、身を犠牲にして「文字」を得たという神話はある模様。劇内での挿話は創作なのか。



2004/12/11 (Sat) - 12/14 (Tue) 『始まったものに終わりはない』(HIGH MORALS FOREVER)  @小竹向原「サイスタジオ・コモネA」。


12/12 (Sun) (14:00-15:30_¥3,000-)


−感想− 12/13 皆で気になる材料を持ち寄って“闇鍋”したんだと思う。
レビュー風構成の手腕なかなか。...私的見所は、美加理さん二役/《フランダースの犬》/贅沢な細部/『海彦山彦』/熊ちゃんの口...引用の原典伏せられているので(ツェラン〈死のフーガ〉、もひとつは出てこない)。記憶のプール的。
通して見ると「ポスト終末論」風ヴィジョンになっているのがスゴイ。
ただ、まゆたんの証言通り、山本さんは〇をビュンビュンさせてました。 (角田) 

    • 投射されたテキストは、パウル・ツェランとサミュエル・ベケットのものでした。ちなみに山本芳郎さんが振り回していたのは「日本刀」です。

説明しよう。
HIGH MORALS FOREVERとは...俳優の美加理、大久保倫明による基礎ユニット"MORALS"のビルドアップバージョン。
2003年、年末の<極寒野外劇>芥川龍之介「藪の中」を上演。
今回はマジメな4人による<タフな短編集>「始まったものに終わりはない」。
...「海彦と山彦」「ACHEABAT CAFE-戦いの記憶」「HAMLETS」「カタストロフィ」「新世代Bear」他。共演者:棚川寛子・山本芳郎(山の手事情社)。スタッフは、衣装・美術 :ROCCA WORKS、 アニメーション:松本力、 照明:福田玲子、音響:AZTEC、舞台監督:弘光哲也。

    • 『藪の中』では、「ハイ・モラルズ・フォーエヴァー(高・倫・理)」の「高」こと大高浩一さんが出演。


問題にしたいのは、山本有三の戯曲『海彦山彦』(1924) と『古事記』について。
戯曲は、釣り針を無くしても謝らない弟「山彦」が、兄「海彦」に諌められるお話になっていると思うのだが、『古事記』解釈では、「山彦」天皇家の祖先。「海彦」隼人・熊襲となっているらしい。
近代的な眼で見ると、山本先生にも「山彦」君の動きが怪しくて腑に落ちなかったらしいのだ。「山彦」君。剛情で謝りもせず、殴られて逆恨みですよ。嫌なヤツだねえ。