「古書」「翻訳」《真昼の暗黒》絶版問題。

古書表紙



《真昼の暗黒》絶版問題。文明の問題よりも人権問題を起こさない方が優先だということではないだろうか。...後日詳細を。


アーサー・ケストラー(アルチュール・ケスラー Arthur Koestler...母語では、「ケストレル・アルトゥル」というらしい)《眞晝の暗黒 Darkness At Noon》 (1941) 岡本成蹊訳 (筑摩書房 1950/1951版)


  • 第一回審問 1.-14.

革命政党の古株ルバショフはある朝逮捕、収檻される(既に海外での投獄体験がある)。
独房をぐるぐる歩きながら夢想にふける。外国で党の命令のもと処分を行い、死んでいった人達の顔、エピソード。
最初の審問で党への疑問を口にする。証言の取引を持ちかけられる。

  • 第二回審問 1.-7.

検事イヴァノフ、グレトキンの方法の違い。イヴァノフの命令で待遇改善し、しばらく様子を見ることに。
回想。ルバショフの外交官時代。愛人アルヴァロの顛末(党の反対勢力狩りが始まる)。
隣の独房の男。庭での運動。
かつての部下、ボグロフの処刑。叫び声を聴き認識が変わる。房に来たイヴァノフとの革命政治談義(説得)。

  • 第三回審判 1.-6.

ルバショフの歴史分析。庭で無知な農夫の身の上話を聞く。ルバショフ降参を決心。
イヴァノフは来ない。
ある未明から、昼夜問わない尋問が始まる。相手はグレトキン。証人キーファー登場。革命社会の新世代について。
細かい罪状について尋問終わらない。失神。庭に出た際農夫と話す。

  • 文法的虚構 1.-3.

門番ワシリィと娘の会話。裁判の模様を伝える新聞を父親に読み聞かせる。
公判を終えたルバショフの述懐。処刑される。



フランス題《ゼロと無限》。世界大戦後のベストセラー。フランス共産党による焚書にあう。地下出版で広まる。やがて東欧諸国に波及した「みせしめ裁判」の被告たちが声明に密かに本書からの引用をしのばせたという。