「古書」「翻訳」《1984年》。文句ある?

ジョージ・オーウェル《1984年》(1949)


第一部
ウィンストン・スミスは未来社会のロンドンに住んで、「党」の意向通りに過去の歴史(記録文書)を改竄する仕事をしている。
恒常的な戦時体制で、超管理社会であり、語彙も削られ、個人的な時間を持つことも危険な状態。彼は監視の目を潜り日記をつけ始める。思いが高じ、下層民「プロレ」の住む旧市街らしき場所の古道具屋の建物で、空き部屋を見つける。黒髪の女につけられている。


第二部
黒髪の女に、所内でメモを渡される。「愛しています」。郊外の農村の廃屋で逢引する。若い世代の一種の不良娘みたいな人物。外見や行動だけをとりつくろうことで生き延びてきた。
古道具屋の二階の部屋を借り、女(ジューリア)と逢うようになる。
...ある日、党の上層部のオブライエンから辞書の新版の件で話しかけられ、自邸に招かれる。
スミスとジューリアは、落ち合うかたちでオブライエンの邸宅を訪問。党の転覆を策謀する“秘密結社”に加わることになる。
大イベント“憎悪週間”のある日、党の政策が大転換したことが公表されて混乱の最中、“結社”の首領が書いた「本」を密かに渡される。
大規模な記録改竄の仕事が終わった後で、ジューリアと部屋で落ち合い、「本」を読み始める。「党」の根本理論を書いた本だった。
突然、秘密警察が乗り込んできて、二人は逮捕される。


第三部
「愛情省」に監禁。暴行、拷問の上、尋問される。生活の詳細に亘り、すでに盗聴・監視されていた。内面の動きまで把握されているらしい。
スミスはどうしても「二重思考」の根本が納得できない。
「党」の方針もあり、オブライエン直々に尋問される。鏡を見せられ、老いさらばえた骸骨の様になった自分の姿に愕然。それでも納得できない。
究極の拷問部屋にうつされ、気絶。
...場面変わって、スミスは閑職につき、カフェで酒を飲んでいる毎日。ジューリアと再会するが、お互い感慨はない。
戦局が悪化しているというニュース。突然、自軍の大勝利の臨時ニュース。スミス熱狂。処刑される幻想と、すべてに納得できた、という思い。



...ケストラー《真昼の暗黒》、ハーバート・G・ウェルズの、異郷を覗けるケースを扱った短編の影響を受けていると思う。