「日本アンダーグラウンド演劇再定義の試み」「平原演劇祭2007」第一部“移築民家とアタラシイゲキ”4th(第一稿)。 

tsunoda2007-08-19


2007/08/19 (Sun) 「平原演劇祭2007」第一部“移築民家とアタラシイゲキ”4th  @東武動物公園・姫宮「宮代町郷土資料館・旧加藤家住宅」。


文化財の藁葺屋根の旧家の居間と座敷で、今年は『さすらいの姫君』『馬車引きの話』『賢治落語_北守将軍と三人兄弟の医者』《憑依文字》の四篇が上演されました。第二部は 09/01 (Sat) 「宮代町 新しい村 笠原沼畔 野外舞台」にて。


『さすらいの姫君』(自分の鼻) @「宮代町郷土資料館・旧加藤家住宅」。


(13:05-13:44)


女子中学生二人と女子大生の三人による、前口上を兼ねた、種々戯曲断片によるミックストアップ劇。
コノシロの姫と紅葉野の宮目姫。終電乗り遅れの酔払い伯父さんが、駅で静御前に出くわす。ひなこちゃんの即興劇から(デートのお誘い)。引きこもりゴスロリ少女の密命。前作『こい。』より。血鯛の調理法等々。
おーい。おーい。エピソードが積み重なるにつれ「配流の姫」の“世界観”に、だんだん使われなくなったエチュード風作劇法等も「重な」ってくる。
アポロ11号と廃棄されたはずのアルテミス3号との交信の部分は感動的。
私見。アングラの死を語った宮沢章夫『鵺/NUE』への回答と受け取れる。


『馬車引きの話』(大野修司) @「宮代町郷土資料館・旧加藤家住宅」。


(13:44-13:57)


建物中庭での「おいちにの薬売り」、「ガマの油売り」実演から座敷に早変わりで上がって、恒例『霞ヶ浦風土記』からの独り語りに。
馬は頭がいい。街道の店を覚えていておやつをねだる。「馬車引きは馬に喰われる」で金は溜まらないのだが、馬はかわいい。...「馬」つながりで次に。


『賢治落語 北守将軍と三人兄弟の医者』(おまけ家九三)  @「宮代町郷土資料館・旧加藤家住宅」。


(13:58-14:38)


アマ落語家「おまけやきゅうぞう」。群馬出身。関西に転勤して上方落語にハマる。お舅さんがグリコの人で「おまけ」らしい。
「こんにゃく座」でもオペラにした、三十年の行軍で馬に体がへばりついた老将軍の噺を鳴物、擬音入りの上方落語に仕立てた。


《憑依文字》(イエーツの会)  @「宮代町郷土資料館・旧加藤家住宅」。


(14:43-15:57)


自作長編戯曲『神曲』の登場人物を何人か取り出して、W.B.イェイツ《窓ガラスの文字》を翻案(本邦初演か)。
初参加の岡部巴さん大熱演。
もともと高野戯曲のある作品系は虚実入乱れた過去近未来のアジアを舞台にしているのだが、原作にもある通り、霊媒が結びつけるであろう向こうの世界とこっちの世界も加わって、原作の二つの世界(独立闘争下のアイルランドの歴史と、作家、政治家スウィフトの謎の女性関係)の分かりにくさに匹敵する錯綜ぶり。
日常的な事柄だけに生きている人には、おそらく想像もつかない劇内容か。