「仙台衝劇祭 2007」モニタリング01.

しょうげきさい


2007/09/05 (Wed) - 09/08 (Sat) 満塁鳥王一座『Blind』 @福島「club NEO」。※「仙台衝劇祭 2007」セクション 0 6.

(19:30-21:24_¥2,000-)...※アフタートーク 詩人:和合亮一(21:30-22:05)。


まだ若い作家。新しい手法で戦前戦後の(関東軍的な、下山事件的な)謀略が横行した時代を描こうとした力作。昔の超現実主義絵画みたいなイメージの中で進行。だがホラー的場面やラスト近くがキッチュぎりぎり。6人の人物各々のエピソードの錯綜が煩雑。自分のスタイルを完全にはこなせていないか。
文学か映画だったら面白いのに、演劇としてはどうかなーと思ってしまう。悪いけど俳優陣の演技も物足りない。
それに、あの時代の王権に近いものを描くのに「天皇」について一言も触れないのはどう考えても不自然。机上の創作(都内でガキんちょどもがやっている様な安手の)に見えてしまう。かなり危ない。
栞の言によれば、はっきり触れないことで描いているような意味を匂わせているのだが、青森の畑澤聖悟さんもそうだが、そんなのは劇の発想でも、詩の形にふさわしくもない。思いつきの一種。
マジックリアリズムにしては格好良過ぎるんではないのか。人間はそんなんじゃねえだろ、という感想も抱くのでした。




2007/08/31 (Fri) - 09/02 (Sun) 劇団アルファー + 井伏銀次郎 Winning Studio Playhouse act.2『SURF GREEN 〜 ハネムーン in ハワイ』 @仙台「ウィニングスタジオ」。※「仙台衝劇祭 2007」セクション 0 1.


初日観劇 (19:30/19:38-21:01)
スタジオはプロバスケチームのグッズショップの奥。


「Gin's Bar」である。名前は【サービス産業】を装った俳優養成と上演のための集まり、としたい(今回はコラボですが)。
【「設計思想」の見える劇】だと思う。仙台の社会の中に居場所を探す演劇ともいえようか。
【(演劇の)衝動から機能へ】興味が移っていった経緯が感じられる。


【観客の条件】を現実的に考えている
【親和力】のドラマ。舞台上でも、舞台と客席の間も。お客さんから小さい笑いを細かくとって途切れない。
【演劇部ネタ】も演劇をそんな形でやっていた層が、今お芝居を見るようになっているからかも。


【蘊蓄王】が登場して【情報の洪水の中に】どっぷりなのは、コミュニケ−ションのツールに使っているともいえるし、武装とも。逃避の一種であるかも。
落差を生かして笑いをとる【地域ネタ】と【薀蓄】の使い方を見ると、方向性の違う「ネタ」「テクニック」を混在させているように見える。
【モチーフを持って展開する会話】というのは人工的で昔のアメリカのホームコメディみたい。どこかキザでバタ臭い。一種の【韜晦】。
【ウェルメイド劇】というよりも、ハリウッドやブロードウェイ的な洗練を感じさせる劇、といった方がより正しいか。
【親和性】を大切にしているし、人物たちがいきなり正面きってぶつからないように「緩衝材」がいくつも用意されている。


宮沢賢治は【小天地】盛岡、花巻に、エスペラントを模倣したような名前をつけて表現したが、青森、秋田、盛岡では、こういった演劇は作れないという予感がする。
「北東北」の人は、なんだかんだ言っても自分たちの個性の強い文化にこだわって、捕らわれているのでは。また、結構【男尊女卑】めいた場面に出くわすような。
北東北イズムは、宮城の【「シェイクスピアカンパニー」も】だったりして。それに比べると「Gin's Bar」はトーホグイズムに距離を置いている。


【おもてなし】には、質の違いこそあれ、関東も東北もアメリカも無い、という考えがあるのでは。


【仙台社会とは】統計的な裏付けは無いが、仙台という街は、老いも若きも、上品な趣味で、余裕のある人が多い。ザッツ中産階級ワールド。
(暮らしやすいと感じる人も多いだろうが、飽き足りなく感じる人もいるだろう。)
学生はどんどん入れ替って出て行ってしまう。その代謝機能はある。そして【仙台を舞台にした演歌は無い】。


観客に【媚びている】とは思わないが、ある種の鏡像関係が感じ取れる。好まれつつも、なんか批評していやしないかい。
仙台に暮らす人の【セルフパロディ】なんじゃないか。好意と悪意の絶妙ブレンディ。
穏健な、おとなしい位のモラリティ。わざとらしいような。少女マンガ風メルヒェンというか。


「落語」は「人間の業」を見る芸能なんだとか。
題名は『芝生で波乗り』といったところか。皮肉ではある。「業」をスラップスティックでとらえた、といえる。
ワタクシも見栄っぱりの母親を持って居りましてネ。小学校に上がったくらいから「アレっ?」と思うような出来事がいろいろありました。