「ショートピース! 仙台短編映画祭 2007」の河瀬直美監督特集。

かんばん



河瀬直美監督、来仙しました。「仙台短編映画祭 2007」の「Bプロ」で、短編『影 shadow』と、フランス、ドイツのテレビで放送済みの『垂乳女(たらちめ):birth/mother』を上演。ご本人も登場。2007/09/22 (Sat) 15:00-17:00 ¥1,000-。

演劇も映画も総合芸術と言われていましたけど、この理論はもう古いですね(正確さ緻密さに欠ける感じ)。

『影』は、衣装さんとカメラマンが出て来る。衣装さんの父親は最近亡くなった。カメラの男性は撮影しながら、実はあなたの父親は自分だと言う。衣装さんは驚いて泣く。まあ全部嘘なんですが、二人の間ではごっこ遊びが続く。反応を撮影してゆく、というもの。

『垂乳女』は、義理の母親(高齢)との対話。母親の入浴シーン。自分の出産シーン。長男との生活。母親が倒れて死ぬ(虚構)。真っ赤な胎盤の映像。
カメラをずっと携帯していることで映って来るような映像の衝撃性が一方にあり、それが、時系列を壊したり、関係ない映像や歌が挿入されたり“佐々木昭一郎”とか“ジョナス・メカス”の手法を使うことによって「詩的」化されている。
あそこから赤ん坊と臍の緒がズルズルドサッと出て来る映像があり。救急車の中の映像もあり。

何というか、文学性が蒸発してしまった感じかな。人の関係性の謎というか、映像だけの、別の指向、思考の映画ではないかと。

この監督には信者が沢山いるんですね。一言一言に声出してうなづく客。司会の教授(阿部宏慈氏)も盲目的絶賛系で舞台で自己(の作品でもないのに自己)陶酔。キモイ。
河瀬さん結婚して仙頭姓になったんじゃなかったのかな?(離婚したんだそうです)
この監督は日本のドキュメントの伝統からはずれてるんですね。事実ではなく本当らしい表面を撮る。芝居気のある人や暗示にかかりやすい人が身近に多いのかな。
「あこがれの監督は居ない。何故自分が映画を選んだのか分からない。宙の誰かに撮らされいるのかも」発言。
次回作はタイの日本人マッサージ師に、長谷川京子を起用した『土・日・風・水(仮題)』と、ミナマタの詩人、石牟礼道子を取材中。