『踊りに行くぜ!! vol.8 in SENDAI』

チラシ


2007/12/18 (Tue) 『踊りに行くぜ!! vol.8 in SENDAI』 @仙台 春日町せんだいメディアテーク 1F・オープンスペース」。


(19:00-19:44/19:55-21:00_¥2,500-)



前半:伊藤文恵/エヴァ・ムイル。後半:黒田育世/ヤミィダンス。

招待客の椅子席が真ん中にズラリドカン。早くから来た大半の人は前の方のお粗末な席に付くことになり、気持ちが萎えたかも。
会場の使い方は昨年に比べて後退したと思う。
昨年は客席を奥に、入り口と通行人を眺める様な感じで、ハプニング的な面白さと開放感があった。
今年は、まあ普通というか、碁盤みたいにきっちり座布団が並んでいたので、おかげさまで半分くらいは実は見えていません。

伊藤文恵『うつせみ』。

猫背で幽霊のように入場。白いシャツにピンクのスカート。無音。髪を引っ張って腕を落とす動きを繰り返す。仰向けになって腰を重心に上体と足を浮かせる、舞踏的な動き。ラップ音始まる。体を前に開いて後ずさる動き。体が硬直する。体が固まっても踊る。音が入って来る。口をまるく開けて、表情をつけて。陸上の短距離走のスタート。声をあげて倒れる。声を出さず口の形だけつくって話しながら踊る。

「空間実験こがねむし」の時より、はるかに場面を細かくし、展開させた表現。伊藤さんの風貌からくる、昔の素朴な木や土の人形みたいな雰囲気がよく生きていた。また、彼女は手が長い。

エヴァ・ムイル《ミミズ》。

テレコが取り付けてある衝立が出て来て、出演者の具合がおかしい(無力感その他にとらわれて動けない)ので、演目をタマンダの《タマンダ》に変えるというアナウンス。
ただし、タマンダも、多幸症で妄想的な状態だという。
女性が服を脱いで、黒いブラと白いパンティだけになって、嬌声をあげながら走り回りだす。さんざん騒いで、さらに音楽を要求。ダンス音楽で踊りまくり。椅子を出してくる。椅子にかけてホラを吹きまくる。椅子にかけたままで飛び上がり騒ぐ。倒れる。喘ぎ声。延々と続く。泣き声みたい。
衝立が出てきて、予定の演者が到着したので、タマンダさよなら、という。
下着姿で又眼鏡をしている無気力な次の出演者(同じダンサーが演じる)。ダラダラとポーズしながら横の立ち位置をずらしてゆく。
単調な音を発する玩具を床において、音にあわせ歩行。音が止む。じっとしている。足でバンと床を踏みつける。音がまた鳴り出す。...玩具を抱え、座り込む。玩具が猫の声で鳴いて終わり。


こういうやり方に慣れていないと、なんのことやら分からないかも知れないが、演技を「記号的」に扱って、コンセプチュアル、ドキュメント的なものを組み合わせた作品。よく出来ている。人格が入れ替わったようにも、憑依が落ちたようにも見える。

黒田育世 + 松本じろ『モニカモニカ』。

変な席のせいで大半は見えず。たぶん浅草の「吾妻橋ダンスクロッシング」で、初演から何回目かのを見ているので、一応感想はあります。まあ、みてかないとお話にならない類の演目ではないかな、と。
ギターを打楽器的にも使う(シーケンサーで反復させる)伴奏と歌にのせて。フラメンコのダンサーとギタリストのような組み合わせの舞台。
アレンジで、最初はヒッポホップ風だが、中味は、旧トルコ軍楽隊の曲。ずいぶんオリエンタルな中近東の音楽で踊る。
ダンスは、イランの旋回舞踊のようにスカートを膨らませて何度もピルエットするもの。スカートの裾を持ち上げて、外側から内側に足を左右にけりこむ動作。頭を何度も振って髪を振り回すもの。コンテンポラリー的な体を曲げた鋭い動きのダンス、の組み合わせだと思う。
それを、バテてくるまで延々とやる。しかもダンサーは幸せそうな大きな笑顔で。髪をなびかせて。そろそろ限界まで来ると、ダンサーが叫んで終息に向かう。
仰向けに倒れたダンサー。ギターは別の曲をやり始める。ダンサーが徐々に復活してきて、女性というか少女っぽさを強調したコミックで愛らしい小さいダンスで終わる。

コンテンポラリーのダンサーから、ベールをかぶった中近東の踊り子さん(胡姫)に変貌するんだ。それにはこういう手続きが必要になってくるということだと思う。

yummydance『kNewman』。

松山組は京都のモノクロームサーカスといっしょに見る機会が何度かありましたが、いつも、なにか説明的な振り付けの再現に終始している、というか。そもそもかわいくない。音楽も皆知っているものばかり。