「日本アンダーグラウンド演劇再定義の試み」《イェイツ戯曲集》を読む。

表紙


《イェイツ戯曲集》 山口書店(京都) 1980年5月


佐野哲郎、風呂本武敏、平田康、田中雅男、松田誠思_共訳。

〈キャスリーン伯爵夫人〉(1899年初演)

  • 第一場_森際の飢えた農家(シェイマスの家)。
  • 第二場_城の近くの森。
  • 第三場_館の広間。
  • 第四場_城の近くの森。路上。
  • 第五場_シェイマスの家。どこかの岩場の様な闇。
    • 悪魔との契約モチーフ。痛烈な世俗罵倒。武装天使が。

〈心願の国〉(1894年初演)

  • 一幕物。

〈キャスリーン・二・フーリハン〉(1902年初演)

  • 一幕物。
    • 新郎が謎の女についていってしまう。歴史的な事象と幽霊ネタ。

〈スープの鍋〉(1902年初演)

  • 一幕物。

〈王宮の門〉(1903年初演)

  • 一幕物。ゴート族の王の宮殿前階段で。
    • いにしえからの特権の為にハンストする詩人の話。

〈影の海〉(1902年初演)

  • 一幕物。
    • 永遠の国の影のない女イデア世界の最高の女)を求め航海する海賊のボス。魔法の竪琴で人を操れる。途中で襲った船の王妃を奪うが。...?
      • 分からん。勘違いで女に付きまとわれる様にしむけた男の非喜劇?

〈デアドラ〉(1902年初演)

  • 一幕物。
    • 嫉妬深い老王に陥れられる伝説の美女とその夫。リビア人の傭兵。龍の石。...女楽士が一部始終を。

〈鷹の泉〉(1916年初演)

  • 一幕物。
    • 呪われた山の枯れた泉。その水を飲むと永遠の命を持つという。老人。長年水を待って年老いた。鷹を追って英雄クフーリンが現われる。

〈緑の兜〉(1908年初演)

  • 一幕物。
    • 二人の武将。猫頭の魔物に脅されている。お互いの首を切り取る約束だった、というのだ。魔物の首は斬っても平気みたい。英雄クフーリンが現われる。魔物が冗談を詫び、兜を差し出すと。...アイルランド気質賛美の戯曲。

〈バーリャの浜辺で〉(1904年初演)

  • 一幕物。
    • デアドラのところにもでてきた老王が、気ままな英雄クフーリンに、改めて自分と子孫たちに忠誠を誓わせようとする。時同じく、スコットランドから若い剣士がクフーリンを討ちに上陸。...阿呆と盲人が話をすすめる、謎の予言話。

〈エマーのただ一度の嫉妬〉(1922年頃初演)

  • 一幕物。〈鷹の泉〉〈バーリャの浜辺で〉続編。
    • クフーリンの妻エマーと最後の愛人が、彼を看取る。海の中の魔物が遺体に乗り移って、エマーに取引を持ちかける。

〈砂時計〉(1903年初演)

  • 一幕物。笑劇。
    • 無神論の哲学者の元に天使が現われ、砂時計の砂が落ち切る前に神を信じる魂を見つけないと魂の不滅は得られないと告げる。

〈星から来た一角獣〉(初版1904年初演)

  • 第一幕_馬車大工の工房。
  • 第二幕_同工房。
  • 第三幕_夜明け前の岩場。
    • てんかんで気を失っていた馬車大工の若者が霊感を得たと信じ、政治的な騒乱の張本人になって行くまでを描く。破壊せよ。

 

〈役者女王〉(1919年初演)

  • 第一場
  • 第二場
    • 狂信的引きこもりの女王が、一角獣と交わっていると噂され魔女狩りのピンチ。たまたま老婆の役が嫌だと城中を逃げ回っていた奔放な女優と役割を交換すると。※若い女殺しに病付きになっている村人が出て来る。

〈骨の夢〉(1931年初演か)

  • 一幕物。
    • 追っ手をまき、荒野に逃れて来たアイルランド義勇兵の若者。いにしえの霊が彼に語る。 ※歴史上の“売国奴”の名前が出て来る。

〈カルヴァリの丘〉(1921年刊)

  • 一幕物。
    • 処刑場に向かうキリストが見た悪夢。ラザロ、ユダ、賭博好きの兵士。

〈猫と月〉(1931年初演)

  • 一幕物。抽象的な舞台。「狂言」の模作。
    • 盲目の乞食と足の悪い乞食。霊験あらたかな泉で望みが叶うという。彼らの得たものは。

〈復活〉(1934年初演)

  • 一幕物。
    • キリスト処刑後、弟子たちを匿う外国の知識人たち。復活したキリストを目撃しこもごも。 ※ディオニソス教徒の狂乱の描写。

〈窓ガラスの文字〉(1930年初演)

  • 一幕物。
    • 降霊術の会。集まる俗物たち。悪霊が妨害してうまく行かないという。ある文学研究者が参加し、霊の発言を聴き、驚く。ホラー趣味。

〈三月の満月〉(1935年刊)

  • 一幕物。
    • 残酷な王女に歌を聴かせ求婚するために豚飼の若者がやって来た。謎めいたやり取りの後、男の首は刎ねられ、王女は首の前で踊る。

〈大時計塔の王〉(1934年初演)

  • 一幕物。
    • 遊興の国の王と王妃。王妃の素姓ははっきりしない。王妃を詩に詠むうち夢中になった旅芸人が訪ねてくる。男の言動と予言に立腹した王は芸人の首を刎ねるが。

〈白鷺の卵〉(1938年刊)

  • 第一場_霧のかかった岩場
  • 第二場_同上
  • 第三場_タラの都の門前
  • 第四場_宴会場
  • 第五場_タラの都の門前
  • 第六場_山頂
    • 互角の力を持つ王族二つ。ロバを連れた男。白鷺王に身を捧げた乙女。白鷺の卵を盗り、饗応の料理に。白鷺王の呪いがあるという。饗応の宴で、一皿だけ鶏の卵と交換されていた。皿にあたった王族が怒る。乙女が七人の男に陵辱される。翌日、乙女、自分の身は穢れていないという。白鷺王の怒りで雷鳴がする。王族の男は、焼肉の道具で身をかためた阿呆と戦い死ぬ。乙女は阿呆と交わって、男を人間に生まれ変わらせようとするが、時既に遅し。一頭のロバが生まれる。
      • 筋書きはわかるが、不可解なシーンと言動の連続。

〈煉獄〉(1938年初演)

  • 一幕物。
    • 廃屋の前を通り過ぎる行商人の父親と息子(ほとんどジプシー、ジンガロ、ロマみたいに放浪している)。実はそれは因縁のある家だった。行商人は自分の母親の亡霊を見て、呪いを解く為に息子を。

〈クフーリンの死〉(1945年初演)

  • 一幕物。
    • 劇中劇というか、演出家の年寄りが口上を述べ、芝居の仕組を見せてしまっている。クフーリンに怪しい手紙。危機が迫る。戦乱。瀕死で体を柱に縛り付けようとするところに、息子をもうけたことのある外国の猛女が現われ、去る。英雄はハシタ金で乞食に止めをさされる。傷を負わせた者たちの首を並べ、妻の歌で葬送。